2024.10.14 ちょこっと知識
目次
◆もともと日本古来の信仰は神様
◆江戸時代に幕府がはじめた『檀家制度』がはじまり?
太古の昔、この国は天照大神が造ったといわれ、昔から日本人は山の神、海の神、土地の氏神様などを祀り、様々な自然界の万物に神々が宿ると考えられてきました。
ですから日本人は、お正月や子供が誕生したり建物を建てたり、何か大きな祭事がある時には神社へお参りに行きます。でも、よく考えてください。
昔からお葬式にはお経がつきもの、お葬式は仏教で行う感覚が日本人の中に深く根付いていませんか?
さて、これはいったいどういうことでしょう。
日本の宗教や民俗学を研究する学者さん達によると、現代の日本人の宗教観に多大な影響を与えたのが、
江戸時代に幕府がはじめた『檀家制度』ではないか、と推測しています。
戦国時代を経て、徳川家康が初めて日本を一つに統一をしました。
その後264年間江戸幕府の国家統一は続きますが、
国を初めて一つにした江戸幕府がはじめたのが国民を管理する事でした。
人口を管理し、人々に年貢(現在の税金)を納めさせるシステムを作り、
このシステムを管理する役として各地域に点在しているお寺にその役割を命じたのです。
この時に所属する事になる寺が檀家寺だといわれています。
こうして、この村にはいくつ世帯があって何人家族なのかを国が把握し、亡くなったら報告をする。
そのために、幕府は村人達に家族が亡くなったら檀家寺へ報告をして葬儀をするように義務付けます。
葬儀といっても、村人のほとんどが農民ですし、亡くなった人の枕元で
僧侶が読経をあげるだけの簡素なもので、当時は火葬する習慣も施設もないので、
村人達が集まって裏山へ遺体を埋葬しに運んだのです。
このように国を治めるシステムが出来上がっていくと共に、
様々な規則=法律などが施行されはじめ、
このような流れと共に仏教が全国に広まったといわれているのが檀家制度です。
昔はお寺が村のコミュニティーの場所であり、
住職は村人に学問や道徳を教えるよき先生の役割を果たしていました。
何か困った事があればお寺の住職に相談し、知恵をもらって解決をしてきたのです。
ある宗教学者は、檀家制度という政治的な力の作用が大きく影響したとしても、
神道であった日本人にここまで仏教が根付くには、それ相当の理由があると論じています。
どうもお釈迦様のいう仏教の世界観が日本人の思想と類似した点が沢山有り、
自然と仏教が浸透する素地を日本人が持っていたに他ならない、と語っています。
<参考文献>
「仏教と神道」 ひろ さちや 著
「仏教の歴史」 ひろ さちや 著
「葬儀と墓の現在」 国立歴史民族博物館編集
「宗教がわかる」 大島 広之 著
「現代日本の仏教」 季刊誌SOUGIより
東京大学大学院人物社会学部研究生マーク・ロウ氏対談 他